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リーベン
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リーベンによる漫画とか映画とか小説の感想や創作。日々のつれづれ。
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書くー。と言っておきながら、ばたんきゅーしてしまったために、アップがおそくてすいません。
まぁ、誰も期待してないだろうがな!(泣)
ファロムの話です。とりあえず1話だけ。
長くなると思うので、ゆっくり書こうと思います。すいません



『walk travel along』

子犬のような、ふわふわの髪が舞う。
このおてんば娘を呼び止めるように、声が追う。
「ファロム!」


過去の遺産、死せる星、伝説上の存在とされた惑星、地球。その軌道上に位置するのが、ここ月である。まさかそれが、人類の守護者の本拠地だとは、誰が知りえるだろうか。
文明的な人類が形成する銀河帝国から遠く離れた、この巨大な衛星の地下深くに、人工的な居住地区がある。人工重力や空気循環といった装置は、地球人類がシティという鉄板で覆われた都市生活をしていた頃の技術をさらに進歩させているため、土地面積の狭さは感じさせない。といっても広い空間には、二人しか住んでおらず、そのいずれも地球人類ではないのだが。
一人は2万年の昔から、影となり日向となり、地球から派生した人類の行く末を見守るヒューマノイド。そしてもう一人は———

ぱたぱたと軽い足音を立てながら、少女は食堂まで逃げる。だがぐるりを見渡すも、ここが袋小路だと知った。それでも彼女は諦めがつかず、部屋の隅に無理矢理体を押し込めようとする。
ゆっくりと歩いて来た、R・ダニール・オリヴォーは、けっして乱暴にならないように、少女の腕を捕まえた。
「ファロム…」
「ママのバカバカ!」
ファロムと呼ばれた少女は、このロボットの胸に顔を埋めると、ぽかぽかと叩いた。


ダニールとしては、当たり前の事を提案しただけだった。「君が人類の守護者となるのなら、その人間を知らなければならない」だから、銀河帝国の首都、ターミナスに行こうと。すると、途端にファロムは真っ赤に怒って、
「人間がうじゃうじゃ居る所に行くくらいなら、死んだ方がマシよ!」
そして、走って逃げてしまったのである。

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ハリとドースが好き過ぎたので、書いちゃったんだぜ。
7巻上の、デマーゼルとドースが会ったらしい所を膨らませて書いたよ。
ネタバレは特に含まない。あ、6巻のネタバレは含む。

今、一日一本小説あげるという訳の分からんペースで書いてますが、
ちょっとお前落ち着け。

眠い。(笑)

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『彼女の時間』

ドース・ヴェナビリは、一風変わった特徴を持っていた。
短い金髪をカールさせ、すらりとしたシルエット。きびきびとしていて、惑星トランターの、学園都市ストリーリング大学で歴史学者を務めている。そこまでは何の変哲も無いが、注意して彼女と長い付き合いをしていくと、並外れた身体能力や決して親の事を話さない事。また、いっこうに歳を取らないといった事に気づくだろう。
だが、それらはなんて事は無い。本当は、彼女は人間ではなかったのだから。


しゃれた銀色のスプーンを軽く回すと、コーヒーとミルクがぐるぐると混ざり合う。ドースは口を付けようとして、しかし自動扉の開く音にぱっと顔を向けていた。
入り口からは、上品そうな服をきた熟年の婦人が、ボーイと入って来た所だった。
婦人がこちらに気づいた様子は無いが、ドースは罰が悪そうな顔をして、片手で持ち上げたままになっていたコーヒーを、一気に飲み干した。
ドースは、数日前の事をつらつらと思い出していた。

ホテルの喫茶室で、人と会う。とドースが言い出した時の、ハリの表情と言ったら、それは惨めなものだった。
だからドースは、時間をかけて彼にひたすら説得しなければならなかった。ハリのそばを離れる事がどんなに心苦しいか。もし自分がいない時に、ハリの身に危険があったらと思うと心が痛む。それでも、彼と公に会う事は許されないのだから、皇居近くのホテルが待ち合わせ場所として、一番都合がいいのだ。
と、そこまで言って、ハリが驚いて声を上げた。
「おい、ドース一体誰に会うつもりだ?」
「だれって…デマーゼル…いえ、ダニールよ」
それから、彼はまたむっつりと押し黙ってしまった。彼を傷つけようとする何者からも、守るようにとダニールに言いつかっているのに…。ドースは暗い気持ちで、自分の使命について考えていた。
しかし、それこそがこの若い数学者が嫉妬している理由だと、彼女は気がつかないだろう。
ハリは、彼女が付かず離れず自分と一緒にいるのは、使命ではなく彼女の好意だと信じているからだ。それでも、ハリには実はドースがダニールと恋人関係にあって、彼の命令で仕方なく自分と共にいるのだという不安が拭えないでいた。
だが、それこそナンセンスだった。なぜなら…。
「もし、よろしいですか」
喫茶室でドースに声をかけたのは、かねてからの待ち人ではなく、清潔そうな若い給仕だった。
何の用だろう?ドースが眉を上げると、
「お連れさまから、先にお部屋に入って待っている。と言付けを言いつかって参りました」

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給仕に教えてもらった部屋に入る。小さいが、豪勢な部屋だ。とドースは思った。このように、華美に飾り立てる事に、何の意味があるのだろうか。いや、歴史家であるドースが、それを知らない訳では無かったが、どうしても好きにはなれなかった。だが、そんな彼女の思考はすぐに中断した。ごたごたした野暮ったい部屋にモノクロームの不調和音。そこに立っている男を見て、彼女の顔がぱっとほころぶ。
「ダニール!」
ドースは駆け寄って、彼の手を取った。いつも落ち着きがある彼女にふさわしくない行動だ。それこそ、ハリが見たら顔をしかめただろう。
「良かったわ。会ってくれないのかと思った」
「落ち着いて話すなら、部屋を取った方がいいと思ってね」
ダニールと呼ばれた男は、ドースに座るよう促した。

男はブロンズ色に輝く黒髪をなで付け、蛍光灯のもとで、白い肌はますます青白くみえた。申し訳程度に彩色された、青い瞳は逆に冷たい印象を与える。軽くイスに腰掛けたその姿は、本来宰相エトー・デマーゼルと呼ばれている人間だ。もっともマシなものを選んでも、銀河帝国の影の支配者。真の黒幕等など。彼に付随する悪評や陰口を数えれば際限がない。しかし、
「最近はどうだ?元気かい」
と、彼女に語りかける姿は、その肩書きのどれとも似つかわしくなかった。
「ええ。大丈夫よ。異常があればすぐ知らせるもの。私に何かあった時に応対出来るのは、医者ではなくて貴方だけだしね」
そう、デマーゼルはこのドースというロボットの制作者であり、同時に2万年前はR・ダニール・オリヴォーと呼ばれていたロボットである。

やはり、ロボットがロボットを作るというのは、奇異なものに聞こえるだろうか。
ダニールは2万年前、地球人類が一つの惑星にへばりついていた時代に、ある人物との接触を持つ事になる。彼はダニールに宇宙進出を図る地球人の未来を見守るという使命を、まかせてこの世から去ってしまった。
しかし、いかに人間より万能のロボットであっても、この約束事を一人で遂行するのには困難を極めた。そこで思い出されたのが、かつての移民プロジェクトである。

新しい惑星を人間だけで開拓するのは難しい。ならば、人類の先達として、人にそっくり似せたロボットを派遣しよう。そう、ダニールの制作者である、ハン・ファストルフ博士は考えていた。事実彼は、人間と区別がつかないほど成功なダニールというロボットを成功させている。
その為には周囲の肯定的な認識と資金援助が必要だったが、政府の好感を得られず、プロジェクトは凍結してしまった。やがて、博士も歳でこの世を去り、その計画を引き継ぐものは誰としていなかった。
しかし、ダニールはその事を覚えていた。プロジェクトには、人間と同じあらゆるタイプのロボットが必要であり、そのひとつの設計図に基づいて制作されたのが、このドースだった。

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「でも、あまり大丈夫じゃないかも。ねえ、ダニール。私、分からない事があるの」
と、ドースは言った。
「ハリのことよ」
それから彼女は、分厚い思考の霧の中から、手探りで言葉を見つけ、とろとろと話した。
「彼に告白されたの。一緒に住もうって。もちろん賛成したわ。そうすれば、彼をずっと近くで警護できるから。でも、何かが違うのよ。彼といると、体が軽くなったような気がして、命令されている以上に彼の事が気がかりで。いいえ。使命に支障が出る訳ではないんだけれど…」
最新型のドースは、アーキタイプのダニールよりも人間に近い。自覚出来ない感情を持て余しているのだろう。感情表現は、やはりドースの方が上手であり、それをダニールが察知出来るのは、ひとえに経験と思考を読む事が出来る特殊な能力のおかげだ。
そう思うとダニールは、その顔はまったく男性的であるにもかかわらず、女性的な柔らかい表情で…。
「君は複雑なんだよ。ドース」
と、そう言った。

「ロボットは人よりもろくて、人はロボットよりもろくて」
殺された弟。
壊された友人。
「どんなに頑張っても、どんなに努力しても別れは来る」
死んで行った、パートナー。
制作者。その後継人。
ダニールの青い眼は、かつての記憶を見つめて、その陽電子頭脳は、遠い昔の出会いに思いを馳せて、
「しかし、君が感じているその想いは大切なものだから」
ダニールはしっかりとした口調で、
「ドース、君は幸せになりなさい」


人工的な夕方がきた。帰りすがら、ぶらぶらと一人で市街を歩きながら、幸せとはなんだろう。と、ドースは思った。
人とロボットの関係を、彼はよく知っている。だから、彼女と彼はそのままでいいということだろうか。
そして、ドースはある言葉を思い付いて、しかし、それは合っていないような気がして、でも…
「お父さん」
口にすると、どこかくすぐったいような気がした。
「お父さん。あなたは…」


2008/06/03

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