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リーベン
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リーベンによる漫画とか映画とか小説の感想や創作。日々のつれづれ。
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「それで、なぜ陛下がこのような所にいらっしゃるのでしょうか?」
「いや、お前は“野放しの大砲(カノン)”だからな」
にたにた笑いを浮かべた皇帝クレオン一世は、黒塗りのどっしりとした仕事机の上で頬杖を付いていた。“野放しの大砲(カノン)”とは、かつてデマーゼルが、危険分子であるという意味でセルダンに対して使った言葉である。なぜか皇帝は、あの時の騒動については記憶力が良い。
「陛下、真夜中になります。ご就寝なさいませ」
「なんだ、もう余は子供ではないぞ」
「…広い皇居で、よく迷わずにこんな所にいらっしゃいましたね」
「普段はそちが赴くからか?それとも余を馬鹿にしようと言うのか?」
そう、基本的に皇帝は、人を呼びつけるものだ。よほどのことがない限り、歩いてどこかに訪ねると言う事はしない。それがわざわざ、デマーゼルのオフィスにいるということは、やはり特別な用事があるのだろう。デマーゼルは聞きたくなかった。

「今回の件では、誠に残念であったな」
と、皇帝は残念でもないように言う。
「お前ももう歳だ。従って、仕事における能力の低下はいたしかたない。あの数学者を余の側近とする決定に変更はないが、お前との付き合いは長い。そちのその後に関して、口を聞いてやっても良いぞ」
「身に余る光栄です、陛下。今まで本当に良くしてくれました。ですが、今後は陛下のお手を煩わせないよう、トランターから離れたどこかの地で隠居生活を送りたいと思います」
「ほう。余の助力なしに、一人でやって行くと?」
慈善家の様に振る舞っていたクレオンの口調が曇る。権力者ゆえの高慢さで、自分の決定に反論されるとは思っても見なかったのだろう。しかし———しかし、本当の所は、これほど長い付き合いで心を許した相手を、簡単に皇帝が手放す事が出来ない。と言うのをデマーゼルは知っていた。だからこその、夜中の謁見なのだ。
「余を置いて行くのか」
いつにない、クレオンの真面目な声。デマーゼルは、全皇帝の時から付けていたその仮面を脱ぎ捨てた。急に疲れきった顔になって。
「置いて行くのはいつだって、あなた方じゃないですか」
と、そう言ってしまった

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